旅行や出張の準備中、「20000mAhのモバイルバッテリーは飛行機に持ち込めるか」と不安になっていませんか。飛行機でのモバイルバッテリー利用はルールが厳しく、特に10000mAhを超える大容量モデルについては気になりますよね。
モバイルバッテリーの飛行機持ち込みは国内線と国際線でルールが異なる場合があり、基準となる160Whという単位がどのくらいなのか、自分の160Whモバイルバッテリーが該当しないか調べる必要があります。万が一、モバイルバッテリーを飛行機で預けてしまった場合、国際線などでは没収される可能性も否定できません。
この記事では、20000mAhのモバイルバッテリーと飛行機の規定について、機内持ち込みにおすすめのモデル選びのヒントまで、詳しく解説していきます。
ポイント
- 20000mAhバッテリーの飛行機持ち込み可否が分かる
- 国内線と国際線の具体的なルールの違いが分かる
- Wh(ワット時)とmAh(ミリアンペア時)の計算方法が分かる
- バッテリーを機内で安全に使用する注意点が分かる
20000mAhのモバイルバッテリーは飛行機に持ち込める?基本ルール
- モバイルバッテリー飛行機持ち込み国内線の基本
- モバイルバッテリー飛行機持ち込み国際線の規定
- そもそも160Whとは?モバイルバッテリーの単位
- モバイルバッテリーの160Whはどのくらい?
- 飛行機でのモバイルバッテリーは10000mAhが安心?
- 20000mAhモバイルバッテリーの飛行機持ち込み条件
モバイルバッテリー飛行機持ち込み国内線の基本
まず結論からお伝えすると、国内線においてモバイルバッテリーは「機内持ち込み」のみ許可されています。スーツケースなどに入れて「預け入れ手荷物」にすることは、航空法で固く禁止されています。
これは、モバイルバッテリーに使用されているリチウムイオン電池が、衝撃や圧力によって発火するリスクがあるためです。万が一、乗客の手が届かない貨物室で火災が発生すると、重大な事故につながりかねません。機内持ち込みであれば、万が一発煙や発火が起きても、客室乗務員が迅速に対応できるため、持ち込みのみが許可されています。
【最重要】預け入れは絶対にNG!
国内線・国際線を問わず、モバイルバッテリーをスーツケースなどに入れたまま空港カウンターで預けようとすると、保安検査で必ず発見されます。
その場合、呼び出されて荷物を開け、バッテリーを取り出すよう指示されます。最悪の場合、バッテリーをその場で放棄(廃棄)しなければならず、フライトに遅れる原因にもなりますので、絶対に預け入れ荷物に入れないでください。
国内線の容量(Wh)制限
国内線の持ち込みルールは、国土交通省のガイドラインに基づき、JALやANAなどの各航空会社で共通化されています。基準となるのは「Wh(ワット時)」という単位です。
国土交通省の定めるルール
- 100Wh以下のもの:個数制限なし(ただし、航空会社が「短絡防止の措置」や「身の回り品としての常識的な個数」を求める場合があります)
- 100Whを超え160Wh以下のもの:1人2個まで持ち込み可能
- 160Whを超えるもの:持ち込み不可
モバイルバッテリー飛行機持ち込み国際線の規定
国際線においても、基本的なルールは国内線と同じです。「預け入れ不可」「機内持ち込みのみ可」という原則は変わりません。
容量の制限(100Wh以下、100Wh超160Wh以下は2個まで)も、国際的な基準(IATA:国際航空運送協会)に基づいているため、多くの国で共通しています。
国際線で特に注意すべき点
国内線とルールが共通とはいえ、国際線では以下の点に一層の注意が必要です。
- 渡航先の国の独自ルール:訪問する国や、乗り継ぎで利用する空港によっては、より厳しい独自の制限(例:中国では容量やWhの表記が必須)が設けられている場合があります。
- 航空会社ごとの規定:利用する航空会社(特に海外の航空会社)の公式サイトで、リチウムイオン電池の扱いを事前に確認することが重要です。
特に注意が必要なのが、本体に容量(mAhやWh)が明記されていないモバイルバッテリーです。保安検査の係官が容量を確認できない場合、規定内であっても持ち込みを拒否されるリスクがあります。国際線に乗る際は、必ず容量がはっきりと印字されている製品を選んでください。
そもそも160Whとは?モバイルバッテリーの単位
飛行機の持ち込みルールで使われる「Wh(ワット時)」は、電力量(エネルギー量)を示す単位です。一方で、私たちが普段モバイルバッテリーの容量として見慣れているのは「mAh(ミリアンペア時)」という単位になります。
この単位の違いが、持ち込みルールを分かりにくくしている原因の一つです。「mAh」だけを見ても、そのバッテリーが100Whや160Whの基準を超えるかどうか、すぐには判断できません。
WEBライターの視点
「Wh」は「1時間にどれだけの電力を使えるか(電力×時間)」、「mAh」は「1時間にどれだけの電流を流せるか(電流×時間)」を示します。飛行機の安全基準では、発火時のエネルギー総量である「Wh」が重視されるため、この単位が使われているのです。
Whの計算方法
Whは、以下の計算式で「mAh」から換算できます。
【計算式】 Wh(電力量)= V(定格電圧)× mAh(容量)÷ 1000
ここで重要になるのが「V(定格電圧)」です。ほとんどのモバイルバッテリーに使用されているリチウムイオン電池の定格電圧は「3.7V」(または3.6V)で設計されています。
(※製品によっては、USB出力電圧である「5V」を基準に計算・表記している場合もありますが、航空会社の基準では電池本体の「定格電圧」で計算するのが一般的です。)
モバイルバッテリーの160Whはどのくらい?
では、持ち込みの上限となる「160Wh」や、制限が厳しくなる「100Wh」は、一体何mAhに相当するのでしょうか。先ほどの計算式(定格電圧3.7Vと仮定)に当てはめてみましょう。
▼ 160Whの場合(3.7V換算)
160Wh = 3.7V × ???mAh ÷ 1000
???mAh = 160 × 1000 ÷ 3.7 ≒ 約43,243mAh
▼ 100Whの場合(3.7V換算)
100Wh = 3.7V × ???mAh ÷ 1000
???mAh = 100 × 1000 ÷ 3.7 ≒ 約27,027mAh
【補足】電圧が5Vの場合
もし定格電圧が5Vの製品(または5Vで計算する場合)は、以下のようになります。
- 160Wh = 32,000mAh
- 100Wh = 20,000mAh
つまり、160Whという上限は、約43,000mAh(3.7V時)に相当する、非常に大容量なモバイルバッテリーであることが分かります。一般的なスマートフォンを10回以上充電できるような、業務用の超大容量モデルが該当します。
飛行機でのモバイルバッテリーは10000mAhが安心?
旅行の際、最も安心して持ち込めるのは10000mAhクラスのモバイルバッテリーです。
10000mAhのモバイルバッテリーを、定格電圧3.7Vで計算してみましょう。
3.7V × 10000mAh ÷ 1000 = 37Wh
これは、制限基準である「100Wh以下」を大幅に下回っています。仮に電圧5Vで計算したとしても50Whであり、まったく問題ありません。個数制限もなく(常識の範囲内)、国内外のほぼ全ての空港でスムーズに保安検査を通過できるため、旅行用としては10000mAhのモデルが根強く支持されています。
20000mAhモバイルバッテリーの飛行機持ち込み条件
それでは、本題である「20000mAh」のモデルはどうでしょうか。
同様に、定格電圧3.7Vで計算します。
3.7V × 20000mAh ÷ 1000 = 74Wh
結論として、74Whは「100Wh以下」の基準を満たしているため、20000mAhのモバイルバッテリーは飛行機への持ち込みが可能です。
仮に電圧5Vで計算したとしても100Wh(5V × 20000mAh ÷ 1000)となり、ルール上は「100Wh以下」に該当します(あるいは「100Wh超160Wh以下」の2個まで制限の対象となる可能性もゼロではありません)。
20000mAhモデルの持ち込みまとめ
- Wh換算で100Wh以下(74Wh〜100Wh)となるため、機内持ち込み可能。
- 「預け入れ」は絶対に不可。
- 個数制限も原則ありません(ただし、100Whちょうどの場合は航空会社により「2個まで」と解釈される可能性も考慮し、事前に確認すると万全です)。
20000mAhのモバイルバッテリーを飛行機で安全に使う注意点
- 持ち込み時の個数制限にも注意が必要
- モバイルバッテリーを飛行機で預けてしまった国際線の対応
- 機内での正しいモバイルバッテリーの使い方
- 機内持ち込みにおすすめのモバイルバッテリーとは
- 総括:20000mAhのモバイルバッテリーは飛行機旅行の味方
持ち込み時の個数制限にも注意が必要
前述の通り、ルール上は「100Wh以下」に個数制限はありません。しかし、これはあくまで「危険物としての制限がない」という意味合いが強いです。
航空会社によっては、安全上の観点から「身の回り品として常識的な数量を超える場合」は、持ち込みを制限する権利を有しています。例えば、10000mAhのバッテリーを10個も20個も持ち込もうとすれば、保安検査で止められる可能性が高いです。
また、注意したいのが「100Wh超160Wh以下」の製品です。これは厳格に「1人2個まで」と定められています。
WEBライターの視点
20000mAh(約74Wh~100Wh)のものを2個と、10000mAh(約37Wh)のものを1個、合計3個持ち込むのは、すべて100Wh以下なのでルール上はOKです(※)。
しかし、30000mAh(約111Wh)のものを1個と、40000mAh(約148Wh)のものを2個、合計3個持ち込もうとすると、「100Wh超」が3個になるためNG(1個放棄)となります。
(※20000mAhが100Whと判断された場合、2個までとなる可能性もあります)
旅行に必要な量を考え、多くても合計2〜3個程度に留めておくのが賢明です。
モバイルバッテリーを飛行機で預けてしまった国際線の対応
もし、うっかりモバイルバッテリーをスーツケースに入れたまま、国際線のカウンターで預けてしまった場合、どうなるのでしょうか。
荷物はX線検査を通過する際に、ほぼ100%発見されます。その後の対応は空港や国によって異なりますが、一般的には以下の流れになります。
パターン1:搭乗前に呼び出される(国内・多くの先進国)
搭乗ゲートやロビーで、名前を呼び出されます。係員の立ち会いのもとスーツケースを開け、該当のモバイルバッテリーを取り出し、手荷物として機内に持ち込むよう指示されます。フライト時間に余裕がないと、乗り遅れの原因になります。
パターン2:荷物だけが搭載されない
フライトの遅延を防ぐため、本人を呼び出さず、該当の荷物(スーツケース)だけを飛行機に搭載しない措置が取られることがあります。到着地に自分だけ着き、荷物が届かない「ロストバゲージ」状態になります。
パターン3:バッテリーが没収・廃棄される(最も厳しい対応)
特に保安検査が厳しい国や、乗り継ぎ時間が短い場合などでは、本人に通知なくスーツケースが開けられ、中のバッテリーだけが没収・廃棄されることがあります。この場合、荷物を受け取った際に「保安上の理由で危険物を没収した」という旨の通知書が入っていることがあります。
国際線での預け入れはリスク大!
一度預けてしまうと、高価なバッテリーを失うだけでなく、旅程全体に影響が出る可能性があります。パッキングの最終確認を徹底し、バッテリーは必ず手荷物のカバンに入れてください。
機内での正しいモバイルバッテリーの使い方
無事に機内に持ち込めた後も、安全な使い方を心がける必要があります。
1. 機内での充電はOKか?
モバイルバッテリー「から」スマートフォンやタブレットへ充電することは、多くの航空会社で許可されています。ただし、離着陸時は電子機器の使用が制限されるため、シートベルト着用サインが消えてから使用してください。
一方で、座席のコンセント「から」モバイルバッテリー本体「へ」充電することは、発火リスクの観点から禁止している航空会社もあります。JALやANAでは、機内のコンセント(USBポート含む)でのモバイルバッテリー本体の充電を禁止しています。
2. 短絡(ショート)防止の措置
保安検査では、バッテリーがショートしない状態であることが求められます。金属類(鍵、コインなど)と一緒にポケットやポーチに無造作に入れるのは危険です。
- 購入時のケースに入れる
- 専用のポーチに入れる
- 端子部分をテープで保護する(裸の電池の場合)
市販のモバイルバッテリーであれば、そのままカバンのポケットなどに入れておけば問題ありませんが、金属類と接触しないよう配慮するのがベストです。
3. 発熱・膨張に気づいたら
万が一、機内で使用中にバッテリーが異常に発熱したり、膨張していることに気づいたら、すぐに使用を中止し、触れずに客室乗務員に申告してください。
機内持ち込みにおすすめのモバイルバッテリーとは
飛行機旅行に持っていくモバイルバッテリーを選ぶ際は、容量だけでなく以下のポイントもチェックしましょう。
チェックポイント | 理由と詳細 |
---|---|
容量(Wh・mAh)が明記されている | 必須条件です。記載がないものは保安検査で没収されるリスクがあります。特に国際線では厳しくチェックされます。 |
100Wh以下であること | 20000mAh(約74Wh~100Wh)や10000mAh(約37Wh)なら、100Wh以下のため個数制限の心配がほぼありません。 |
PSEマークがあること | 日本の電気用品安全法に基づき、安全性が確認された製品の証です。必須ではありませんが、信頼性の目安となります。 |
信頼できるメーカーであること | 安価すぎるノーブランド品は、安全回路が不十分な場合があります。実績のあるメーカー製が安心です。 |
20000mAhモデルは、PCやタブレットも充電できる大容量と、飛行機持ち込み基準(100Wh以下)を両立しているため、旅行用として非常にバランスが良い選択肢と言えます。
総括:20000mAhのモバイルバッテリーは飛行機旅行の味方
この記事の重要なポイントを、おさらいのためにリストアップします。
- 20000mAhのモバイルバッテリーは飛行機に持ち込み可能
- Wh換算で約74Wh〜100Whとなり100Wh以下の基準内
- 国内線も国際線も「機内持ち込み」のみ許可
- スーツケースなどでの「預け入れ」は絶対に禁止
- 預け入れが発覚すると没収や廃棄のリスクがある
- 飛行機の安全基準はmAhではなくWh(ワット時)で決まる
- Whの計算式は「電圧(V) × mAh ÷ 1000」
- 一般的な電圧は3.7Vで計算されることが多い
- 100Wh以下のバッテリーは個数制限なし(常識の範囲内)
- 100Wh超160Wh以下のバッテリーは1人2個まで
- 160Whを超えるバッテリーは持ち込み不可
- 160Whは約43000mAh(3.7V時)に相当する
- 10000mAhのバッテリー(約37Wh)は最も安心して持ち込める
- 国際線では容量が本体に明記されていることが重要
- 機内でバッテリー本体を充電することは禁止されている場合がある